塾経営者に聞く、教室・塾を開くための手順をご紹介!ポイントや事前に準備しておくことは?

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1.教室・塾開業までの一連の流れ

教室や塾を開くにあたって、どのような準備が必要なのかしっかり把握できていますか。

準備をしっかりしておかないと、苦労して教室を開いてもうまくいきません。

今回は対面・オンライン問わず、スクールや教室、塾をこれから開こうと考えている方向けに開業の手順や準備するべきことをご紹介します。

▼教室・塾の理念決める

どのような内容の教室を開こうかは決まっていると思いますが、どのような教室にしたいかという具体的な部分まではなかなか決まっていない場合が多いと思います。

そのあたりをしっかりと考えていく必要があります。

また、生徒や保護者が教室を選定する際に想定している以上に重要視するのが、教室の理念になります。

  • 何を教えるのか?
  • 何のために教えるのか?
  • 何を目指すのか?
  • 何故目指すのか?
  • 目指した結果何が得られるのか?

これらが理念とつながっている必要があります。

▼教室・塾名やサービス名とドメインを決める

理念が教室名やサービス名に関連する場合があります。

教室名やサービス名が決まれば、公式サイトを作ることになると思いますので、ドメインにも関連してきます。

例えば、誰もが知っている企業である株式会社リクルートを例に見てみましょう。

リクルートは今でこそ賃貸住宅、結婚、美容院など広がっていますが、基本的には就職支援情報サービスがスタートになります。

recruitは翻訳すると求人や人材募集の意味で、英語1単語になり、就職関連サービスを行う同社にとってはまさにという英単語になります。

その後生まれた就職情報掲載本は「リクルートブック」となり、その後サイト化した際は「リクナビ」となり、言われなくてもリクルートナビの短縮形とわかるサービス名称となっています。

このようにサービス名とドメインと会社名を関連付けて1本化していることで、何をしている会社であるのかが分かりやすく、覚えられやすくなっています。

分かりやすく、覚えられやすいという意味では、複数組み合わせるより、英語1単語の方が良いことは言うまでもありません。

また、世界で同じドメインは取得することができません。

そのため、取得したいと思ったドメインはすでに他者に利用されている可能性があります。

これまで説明した流れから考えると、理念やサービス名などを折角決めてもドメインが取得できなかったという可能性もありますので、ドメインと教室名やサービス名は並行して考えることをお勧めします。

▼教室・塾運営におけるコストについて考える

初期費用、運営費、年収などについて事前にきちんと計算してみましょう。

まずは、支出面についてどのような出費があるかを書き出していきましょう。

【教室運営で発生する主な費用項目】

  • 家賃
  • コピー用紙代
  • インク代(コピー機用)
  • 塾総合保険料(生徒数に応じて料金変化)
  • 光熱費(エアコンや空気清浄機など)
  • Webサイト制作費(教室サイト)
  • ドメイン費(教室サイト用)
  • サーバー費(教室サイト用)
  • 各種制作費(ポスターやチラシなど)
  • 新型コロナウイルス感染症対策費(アルコール消毒液等)
  • 広告宣伝費
  • 教材費
  • Web会議システム料(オンラインレッスンがある場合)
  • 机や椅子など設備費
  • 授業料収納代行費(口座振り込みではなく引き落としのため代行サービスを利用の場合)
  • 人件費(講師料やアルバイト料など)

▼月謝を設定する

実店舗で開校する場合は周囲のスクールが設定している月謝を、オンラインの場合は同様の他社サービスが設定している月謝を調査しましょう。

基本的に月謝は自由に決めてよいと思いますが、ある程度実績や効果が出るまでは、周囲との月謝のバランスを考慮した設定にすることをお勧めします。

▼損益分岐点の把握

損益分岐点とはいつから黒字になるのか?というラインのことです。

教室運営で発生する費用と月謝が決まれば、おおよその損益分岐点を割り出すことができます。

その損益分岐点の到達までに、どれくらいのペースで集客する必要があるのかなどを厳しめの設定で算出しましょう。

それにより、開業資金はどれくらい持つのか?や足りるのか?が分かります。

スクール運営における生徒数の変動についての特徴は、減りにくく増えにくいです。

生徒が一気に辞めていくことは、卒業など特定の条件や、余程の理由がない限りありませんが、余程の工夫や特徴がない限り生徒が一気に増えることもありません。

つまり、損益分岐点を超えるまでの期間は他のビジネスに比べて長く時間が掛かるということを理解して、開校から3年間の収益試算を行っておくと良いでしょう。

▼開業届の提出

法人として開校する場合は登記など必要な手続きを行うことになり、それなりに知識が必要になるため、ここでは個人事業主として開校する場合の手続きについて説明します。

当たり前のことになりますが、新しく事業を開始するわけですから、所轄の税務署へ開業届を提出しましょう。

開業届の作成自体は非常に簡単ですので心配する必要はありません。

この簡単な書類の開業届は様々な場面で必要になります。

例えば、補助金を受ける場合に開業届を提出する必要がある場合があります。

また、影響の大きいところですと青色申告をする場合に必要になります。

個人事業主の場合、スクールで得た所得などを含めて、確定申告をするわけですが、この確定申告には「白色申告」と「青色申告」があります。

青色申告は、特別控除、純損失の繰越し・繰戻し、貸倒引当金の計上など節税面でお得な申告方法になります。

ただし、青色申告は、事前に届出が必要になります。

青色申告をしたい場合は、青色申告をする年の3月15日まで(1月16日以後、新たに事業を開始した場合は、事業開始から2カ月以内)に、開業届と青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出する必要があります。

提出がなければ、自動的に白色申告者となります。

青色申告の記帳方法ですが、簡易簿記(1つの勘定科目を用いて、目的のみを記録する方法)と複式簿記(2つの勘定科目を用いて、お金の動きと原因の2点を記録する方法)の2種類があります。

記帳方法によって受けられる控除の金額に差があり、簡易簿記で10万円、複式簿記で最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

白色申告にはこれらの特別控除は設けられていません。

これが、青色申告をお勧めする1つ目の理由になります。

次に、青色事業専従者給与(配偶者は最高86万円、15歳以上の親族は最高50万円)を必要経費にできます。

白色申告には、配偶者や親族に支払った給与を必要経費に計上できる特典はありませんので、青色申告者のみに与えられた大きな特典になります。

次に、純損失の繰越しと繰戻しができます。

これは赤字が出たとしても赤字を翌年に持ち越せ、翌年利益が出た場合に充当できるというものです。

通常その年の利益に対して税金がかかるわけですが、純損失の繰り越しがある場合は、その損失で利益を消せるため、支払う税金の削減につながります。

この純損失の繰り越しは最長3年間になります。

こういった税に関する知識がない場合は税理士に相談するのもいいでしょう。

その場合、本記事の【教室運営で発生する主な費用項目】には含めていませんが、年1回のスポットで3万円程度の税理士費用が発生することになります。

個人事業とはいえ事業を起こすからには税に関しての勉強も行っていくことをお勧めします。

▼入塾規約の作成

損益分岐点の把握も完了し、開業に向けて動くことになった場合、集客より早めに着手するべきものが規約の作成になります。

教室運営をしていく中で、予期しないことが発生することもありますので、様々なパターンの想定が必要となります。

されては困ることや、責任を負えないまたは追う必要がない部分についてなどある程度細かく規約を設定しておきましょう。

また、様々な可能性があるスクールの規約は、作成が難しい部類に入りますので、弁護士に依頼し作成するのが良いです。

その場合、本記事の【教室運営で発生する主な費用項目】には含めていませんが、3万円程度の弁護士費用が発生することになります。

【規約に含めるべき主な内容】

➀月謝の支払いに関する規約

月謝の支払いルールと方法について明記しましょう。

②退会や退塾に関する規約

通常の退会や退塾、その場合の月謝などについて取り決めた記述をしましょう。

③臨時休校に関する規約

災害など何らかの理由で臨時休校にする場合の記述をしましょう。

④個人情報の取り扱いに関する規約

改正前の個人情報保護法では、5,000件を超える個人情報を保有する事業者のみが個人情報保護法の適用対象事業者でしたが、平成29年5月30日より保有している個人情報が5,000件以下の事業者であっても、適用の対象となっていますので、スクール管理システムを利用するなどして個人情報漏洩のリスクを減らしましょう。

■関連リンク:スクール管理システム SCHOOL MANAGER(スクールマネージャー)

⑤禁止行為に関する規約

生徒や保護者に禁じたい内容の記述をしましょう。

⑥閉鎖や中止に関する規約

自然現象など含め教室の存続が難しくなった場合の記述をしましょう。

■関連記事:実際の自宅教室経営者が語る、自宅教室でよくあるトラブルと対策・解決策

2.生徒集客の準備を進める

▼教室の準備

賃貸や自宅など生徒を入れる箱(教室)の用意ができましたら、机や椅子など必要備品を設置していき教室を完成させましょう。

賃貸の場合は集客後でも問題ありません。無駄に家賃がかからない様にスケジュールを立てましょう。

▼授業時間の決定

次に集客に影響する受入れ時間(授業時間)の設定を行います。2コマ以上ある場合は生徒の入れ替えにかかる時間も考慮し設定しましょう。

授業時間を設定する場合、生徒が通う学校の終業時間が影響します。生徒が通えない時間に授業枠を設定してもので、調査をしましょう。

▼ドメインの取得

ドメインとは、●●●●.jpなど@マーク以下を指します。

お名前.comやムームドメインなど、ドメインを自由に取得できるサービスがありますので、取得したいドメインが空いているのかを確認しましょう。

ドメインは●●●●部分を「.jp」や「.com」など様々な種類と組み合わせて取得することができます。

「.jp」や「.com」は値段が異なりますが、年間でも高くても5,000円以下と比較的安価なものです。

下記に主なドメインを紹介します。

➀「.jp」

日本(Japan)を意味するドメインです。組織・個人を問わずに日本に住所があれば誰でも登録できるものを「汎用JPドメイン」といいます。難しい取得条件や取得数制限もありません。

②「.com」

主に商業用(Commercial)サイトに使用されるgTLD(ジェネリックトップレベルドメイン)です。全世界で最も人気のTLDであり、様々な種類のWebサイトで使用されています。

③「.net」

ネットワーク(Network)の意味のあるgTLD(ジェネリックトップレベルドメイン)です。IT関連の事業や団体などに使われる傾向が多く、登録数は「.com」に次ぐ世界で2番目の規模です。

④「.co.jp」

日本を代表するドメインであると共に、日本国内に登記のある組織のみ登録可能という条件があるため、日本法人であることの証明となり、他には無い高い信頼を得ることができるドメインです。

▼サーバーの用意

サーバーには公式サイトを表示するための構成ファイル一式を格納するために必要です。

また、少し専門的な話になりますが、前項で取得したドメインとサーバーを紐づけることで、Webサイトが表示されるようになります。

ここの作業は調べながらできなくもないですが、簡単な専門知識が必要になりますのでプロに依頼することをお勧めします。

▼公式サイトの開設

これまでに決定してきた各種情報(教室の住所、授業時間、月謝、理念、授業の様子など)を、習い事や塾を探している方、もしくは子どもを通わせようと考えている保護者に発信します。

これらの情報を効果的にWebサイトに入れ込むことで公式サイトの開設ができます。

誰がどういった想いで、事業を行っているのかということは、スクールや塾を選ぶ側からすると、信用にかかわる情報になります。

新設のスクールや塾は、実績と信用が無いため、これらを積み上げていく必要がありますので、必ず公式サイトは開設しましょう。

また、効果的にアピールする上で、どの様な検索ワードで自分のスクールや塾が検索結果として表示されるべきかを考え、基本的なSEO対策を施すと良いでしょう。

ただし、本記事に記載の「ドメインの取得」「サーバーの用意」「公式サイトの開設」「SEO対策」は一定の知識がないと実施することが難しいです。

勉強しながら自分で構築や実施することが一番良いと思いますが、プロのサポートをご希望の場合はお気軽にご相談ください。

3.生徒集客を始める

公式サイトやチラシ、ポスターなど含め、これだけの用意ができて初めて集客開始ができます。

SNSを利用したり、広告を利用するなど集客施策は様々あります。

別の記事で生徒集客について詳しく書いていますので、ご確認ください。

■関連記事:効果的な塾・スクールの集客方法徹底解説|実際の生徒集客成功例を紹介

■関連記事:教室のための生徒募集チラシ|必要性と作成の際におさえておきたいポイント

4.改善を繰り返す

スクールや教室、塾の開校までに必要なことを説明してきましたが、本記事に記載の各項目を行ったり来たりすることになり、スムーズに一度では決めきれないと思います。

例えば理念を決め、スクール名を決め、ドメインを調べたら空いていなかったため、サービス名を作り直すことになったり、その結果理念やスクールの内容や構造が変わったりします。

また、公式サイトを構築する段階で重要なことが抜け落ちていることに気づいたり、もっと良い策やアイデアが浮かび、理念などすべてを構築し直すことになることもあります。

この試行錯誤は開校した後も続きます。

生徒の声や保護者の声、地域の声に耳を傾け、PDCAを回していきましょう。このように起業は簡単ではないですが、楽しいものです。

■関連記事:新規開業で失敗しないために塾経営で気をつけるべき点と運営のポイント

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