塾の起業:成功への道を切り拓くための戦略ガイド

運営

塾は、大きな設備投資の必要がなく、また在庫を抱える可能性も低いため、開業に伴うリスクが低く、収益化しやすい事業です。また、無資格でも開業できることもあり、気軽に開業を考える人も多く参入障壁の低い事業となっています。

しかし、その反面、近年の少子化の影響で対象となる子どもの数が減っているので、生徒獲得競争が激しくなってきています。

そこで今回は、塾を起業し、成功への道を切り開くための具体的な手順と戦略をお伝えしますので、是非参考にしてみてください。

1. 塾業界の理解

1.1 塾業界の現状

経済産業省の特定サービス産業実態調査によると、総生徒数は2014年から2018年の5年で通塾する生徒が100万人減少し、2014年の3/4に減少していることが分かります。

塾の数も毎年約100件ずつ減少していることが分かります。

このように塾の数と生徒数は共に減少傾向にあり、塾業界の競争が激しくなっていることが分かります。

■関連記事:成功する塾の生徒募集方法|戦略とヒントとデジタルマーケティングの活用

1.2 塾業界のトレンド

最近の塾の教育トレンドとしては、オンライン教育の台頭と個別指導の人気が挙げられます。新型コロナウイルス感染症対策の影響で、通塾が制限されたことをきっかけに、オンライン授業や、映像授業、デジタル教材などを活用したサービス提供が多くなりました。

コロナ対策期間もある程度長かったこともあり、サービス提供側も受ける側も、デジタルを活用した環境に慣れ、結果的に、塾業界でのデジタルを活用した学習サービスの導入や活用する環境が大きく進展しました。

そのため、これまでは主流であった通塾・集団学習といった学習スタイルに変化が生じ、オンライン教育の台頭や個別指導の更なる人気につながったと考えられます。

1.3 塾業界の将来性

少子化の影響は大きいものの、悲観することはありません。近年進んでいるICT化やデジタル化の流れもあり、これまでの通塾・集団以外のスタイルの塾や、新たな分野の塾なども出てきました。

例えば、数年前まではほとんど無かった、プログラミング教育を行う塾は人気がありますし、乱立しています。これは学習指導要領の改訂に伴い、2020年より小学校でプログラミング教育が必修化したことがきっかけで起きた流れになります。

大人向けのパソコン教室の一部にプログラミング教育を取り入れ、対象生徒を広げ、事業拡大したケースもあります。

オンライン(映像・教材)とスクール管理システムを上手く活用して、無人塾を開校しているケースもあります。無人塾の場合は設備費や人件費はほとんどかかりませんので、収益性の高いモデルになります。

このように何かをきっかけに、新しい形式の塾が作られています。このような流れは今後も続くことでしょう。

 2. 塾の起業計画

2.1 ビジネスプランの作成

取り敢えず進めるのではなく、ビジネスプランを明確にしてからスタートしましょう。

取り入れなければならない項目として、目標設定、市場分析、マーケティング戦略などがあります。

まず、目標についてですが、月次での目標の中には週次での目標が設定でき、日ごとにも目標を設定することができるように、すべて関連し、整合性の取れる目標を設定しましょう。

市場分析ではエリアの分析も忘れずに行いましょう。競合の数や状態、対象となる層がどのあたりに多いのか、地域的な特徴はないのか?というように多角的に分析していきましょう。

その上で、具体的にどのように生徒を募集するのかを考えていきましょう。広告を利用するのか、何かの媒体に掲載するのか、地域イベントに出展するのかなどです。ほとんどの場合体験レッスンからになると思いますので、体験終了後から入塾契約までのフローはどのようにするべきかまでシミュレーションしましょう。

2.2 資金調達

次に開業資金やその調達方法についてですが、開業資金は開業する塾の形態や規模により変わります。

・物件取得費

賃貸物件の契約で発生する保証金や礼金、仲介手数料などの費用です。ビジネス利用の場合、敷金で家賃6か月分程度の費用がかかりますので、100万円程度を目安としておきましょう。

・教材費

科目や教える内容により変わりますが、30万円程度見積もっておけば良いでしょう。

・内装工事費

居抜き物件かスケルトン物件かで変わりますが、100万円程度を見積もっておきましょう。集団・個別でレイアウトが内装に影響する場合もあります。

・設備費

集団式の場合集団では机や椅子を並べるだけで良いですが、個別式の場合は机と椅子以外に隣との仕切りが必要になります。それ以外でもPCやタブレット、プリンター、ホワイトボード、スクール管理システムなど運営に必要な費用として100万円~200万円程度見積もっておきましょう。

・広告宣伝費

スクールサイトや集客用の広告、ポスター・チラシなどの制作費用になります。

スクールサイトは一般的には15万円程度、チラシ・ポスターは10万円もあれば、ある程度の量を作成できます。広告費は分析しながらかける方が効果的ですので、データを取る意味でも初期は少なくても月額10万円程度はかけたいところです。

このように、物件を借りて内装工事を行うような、それなりの規模の塾開業を自己資金で行うこと考えている場合は良いですが、資金が足りない場合も出てくると思います。

地元の金融機関に融資を頼もうと考えている場合もあると思います。

しかし、初めて開業する場合は、実績や信頼がないため、融資を受けられる可能性は限りなく低いのが実情です。

そのような場合には、日本政策金融公庫や制度融資の利用を検討することをおすすめします。 この章で取り上げた費用以外にも水道光熱費や賃借料など、毎月のランニングコストもかかりますので、数年先までのコスト計算を忘れずに行ってください。

■関連記事:新規開業で失敗しないために塾経営で気をつけるべき点と運営のポイント

 2.3 法規制と許可

塾の開業自体には細かいルールや資格は要りませんが、建築基準法における用途地域の問題や消防法による消防設備の設置などが絡んでくるケースもありますので確認しましょう。

次に運営面での法規制についてです。

影響があるとすれば、特定商取引法や消費者契約法あたりになり、クーリングオフや、入会金・年会費、退会時の返金などに絡んできます。これらを把握した上での規約の作成になりますので、重要な部分です。

3. 塾運営の戦略

3.1 授業の質を確保

授業の質を高め、維持することは、塾経営においてとても重要です。評判に繋がる部分でもあります。そのためには質の高い講師を獲得することが重要になってきます。

しかし、近年では個別指導塾が増えた背景や、仕事の人気面で塾講師の仕事を選択する人材が減っていることもあり、塾講師の採用が難しくなっています。

マス広告やチラシを活用した募集方法も良いですが、あまり高い効果は期待できないのが現実です。

このように、講師候補人口が少ない現在では、育成することが良い講師を獲得するための確実な方法となっています。

次に授業の質を高めるためのもうひとつのポイントとして教材が挙げられます。

受験塾の場合、テキストやカリキュラムは大体決まってきてしまっている背景があるので、選択肢は少ないですが、例えば英語関連の場合は、海外で使用しているテキストやカリキュラムの導入や英字新聞の活用など、国内においては独自的なカリキュラムを展開できる可能性があります。

合わせて学習支援システムなどのツールの導入も効果的です。

生徒は動画や音声、補足資料などを見ながら、宿題やワークなどの課題に取り組むことができますし、手厚い支援体制に繋がる上に、塾側での資料の用意や配布、紛失にかかる手間も減らすことができます。

3.2 マーケティングとブランディング

目標市場を特定し、オンライン・オフラインそれぞれでの戦略を駆使しで、塾のブランドを構築しましょう。

オンラインでのマーケティングでは、SEO対策、オンライン広告やソーシャルメディアの活用、オフラインでのマーケティング戦略では、ポスターやチラシ、イベント開催、地域イベントへの出展などが挙げられます。

■関連記事:成功する塾の生徒募集方法|戦略とヒントとデジタルマーケティングの活用

3.3 顧客満足度の向上

せっかく苦労して集めた生徒を不満が理由で辞めさせてしまうのは勿体ないことです。

そこで、アンケートや面談を通じた意見収集を行い、課題や要望を分析してみましょう。

生徒や保護者の声の中には経営成功に向けたヒントがたくさん隠れていますし、要望通りに改善してみたが、改善前の方が良かったり、更なる改善につながる場合もあります。

そのようにして改善された点については、意見をくれた生徒や保護者にも伝え、リテンションや再契約促進に繋げましょう。

4. 障害と解決策

4.1 起業における一般的な障害

塾の起業における一般的な問題として、運営資金不足や人材確保、競合との競争などが挙げられます。

本記事の冒頭では開業時にかかる費用についてお伝えしましたが、賃貸料やシステム利用料、光熱費、広告費、人件費、教材費など毎月の固定費も発生します。

これらを月謝から支払う訳ですので、安定した生徒数の保持は、必ず実現しなければなりません。

4.2 塾特有の問題とその対処法

塾業界特徴として、決まった時期に入塾が偏る点と年齢や学年によりまとまった人数の退塾がある点です。そのため、生徒獲得に失敗すると、挽回がしにくく、最悪の場合は大幅な生徒数減となっていまいます。

こうなってしまうと臨時での生徒募集は非常に難しいため、次の入塾の波が来るまで数ヶ月待たなくてはならなくなります。

4.3 常に進化する市場に適応する

本記事の第1章でも少し取り上げましたが、これまでは主流であった通塾・集団学習といった学習スタイルに変化が生じ、オンライン教育や個別指導が人気となっています。

このように何かをきっかけに、教育トレンドに変化が生じることは十分にあり得ます。また、新しいテクノロジーやデバイスが生まれることもあるため、それらを取り入れることができるかどうかを経営者自身も学ぶ必要があります。

これまでは世の中が変化するスピードも遅かったため、従来のやり方でも続けてこられましたが、今は変化のスピードが速く、これからはさらに速くなることが予想できるため、世の中の変化に柔軟に対応しないと生き残れない可能性も出てくることでしょう。

まとめ

起業への道のりは難しいが、適切な計画と戦略により成功への道を切り開くことができます。

本記事に記載したように、塾業界をしっかり理解した上で、起業計画を立てましょう。その際法律面の確認もしっかり行い、法令を順守した塾運営を目指しましょう。生徒からの指摘で違反に気づくなどということは絶対に避けなければなりません。

そして、塾を開いた後は、改善やテストの繰り返しになります。塾生の満足度を高め、地域で評価される塾を目指しましょう。

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