近年の副業解禁などの流れもありで、自身のスキルや経験を活かしてビジネスを興す人が増えています。副業といっても様々なものがありますが、その中でも自分の得意なことやスキル、経験を、教える「教室」運営への挑戦を検討する人も多いのではないでしょうか?
この記事では「教室」ビジネスの特徴や成功要因の紹介と、「教室」関連のキーワード検索量の比較データをもとに、地域ごとの特徴などを中心にご紹介していきます。
これから「教室」ビジネスを検討している人、または運営中の「教室」への集客などへの課題解決の参考になれば幸いです。
1.「教室」ビジネスの特徴
「教室」ビジネスは比較的誰でもはじめられ、うまくいけばきちんとしたビジネスになる可能性があります。まず、その理由を確認していきましょう。
▼少ない資本ではじめられる
ビジネスモデルとして、自身のスキルや経験を生徒に教えるわけですので、原料や材料の仕入れなどコストが先に発生することがありません。
唯一コストが発生する点としては、教室となる部屋や会場の賃料ですが、自宅が利用できる場合は賃料を一切かけずに始めらます。
仮に借りる必要が発生したとしても、必要な時だけ定額で借りることができますので、余計なコストをかけることなくスタートできます。
このように状況次第では、費用面で手軽に開始できる可能性があるというところが一つ目の特徴です
▼在庫などを抱えるリスクがない
物を販売するビジネスの場合の多くでは仕入れが発生します。
そのため物が予想以上に売れなかった場合は、在庫を抱えるリスクがあります。
在庫を抱えるということは、その分倉庫の面積を使ってしまうわけで、倉庫代も上がります。
しかし、自身のスキルを提供する教室ビジネスの場合は、在庫というものが無いため、そのリスクが少なく済みます。
まとまった資本が投入出来ない金銭的リスクが取りにくい人にとっては、「教室」ビジネスはオススメなビジネスのひとつと言えます。
▼利益率が高い
自身で教室を行う場合、前述のようにコストをほとんどかけることなくスタート・運用できます。
つまり、授業料収入はほぼ利益となるため、利益率が非常に高くなるというのが特徴です。
利益率も他の製造業や手数料モデルのビジネスと異なり比較的高く、基本的にはサービスを提供した時間分だけ利益が得られる構造となります。
更に、教える対象が多数の場合は、生徒の分だけ売上が上がります。
特に今はWeb会議システムや録画した動画のオンデマンド配信などをする教室もあり、かけた時間あたりの単価をさらに伸ばすこともできるようになっています。
このように「教室」ビジネスは、比較的簡単に始められ、コストに関するリスクも少なく、更に利益率が高く、スケールしやすいビジネスです。
2.「教室」ビジネスの成功要因
「教室」ビジネスを成功させる要因はたくさんありますし、地域により差もありますが、大きく分ければ以下の3つが主な要因となります。
▼教えることに需要があることが大前提
自身が教えようとしている内容に対して需要があることが大前提です。
誰も知りたいと思わないスキルや経験を教えたとしても、聞いてくれる生徒はいなく、ビジネスとして成り立ちません。
競争が激しくとも、誰でもお金を出してでも、身につけたいスキルや経験などを提供することができれば、様々な差別化施策次第で大手競合にも勝てる可能性があります。
つまり、ここで伝えたいのは、生徒となる層がいなかったり、少ない領域は市場にはなり得ないということです。
▼教室の集客・仕組み・効率性
市場があった場合、その市場からいかに顧客を獲得するのかが重要です。
どんなに素晴らしいスキルや素晴らしいカリキュラムがあったとしても、誰もその存在を知ることができなければ生徒の獲得はできません。
また、生徒の獲得がスムーズにいった場合には、一度に複数の生徒に教えられる指導方法や、生徒管理や集金管理といった事務作業を効率的に行える体制を構築する必要があります。
運営体制の構築を疎かにすると、時間を浪費してしまったり、生徒数を増やせないなど、ビジネスとして拡大させることができません。
▼内容やサービスの質
「教室」ビジネスの核である、内容や、教え方、質、成果なども中長期的には重要です。
誰もが知りたいスキルや技能を教えることができ、素晴らしい集客戦略と仕組みがあったとしても、その教室の内容が生徒には理解できなかったり、成果に結び付かなければ、生徒の受講が継続する可能性は低いですし、口コミなども悪くなり、ビジネスはより難しくなっていくでしょう。
※近年、口コミは重要な判断材料となっています。
3.需要をどう見極めるか?
自身のスキルや技能に対しての需要の有無を確認するには以下のような方法が考えられます。
▼周りの人の意見を聞く
まず、手軽なところから始められるのは自身の周りに特定のスキルや技能を「習いたい」や「習いたいと言っていた知人がいる」など、ニーズがあるか思い出してみてください。
自分のスキルや技能の価値は、なかなか自分では気づきにくいですが、第三者からのニーズを耳にしたことがある場合は、特別なスキルを持っていて、それをビジネスとして活用できる可能性があるかもしれません。
しかし、これだけだと自分の周りだけの意見に偏ってしまうため、次の2つは必ず調べることをオススメします。
▼競合ビジネスの有無
自分が始めようとしている領域や内容を、すでに別の誰かが行っているかどうか調べてみましょう。
すでに誰かが始めていて、ビジネスとして複数成立していれば、需要と市場があるという指標となります。
逆に誰も同じようなビジネスを提供していなかったり、以前は存在したが明確な理由もなく閉店している場合は、需要はないのかもしれません。その場合は注意が必要ですので、さらに詳しく需要を調べてみましょう。
▼始めようとしている教室やビジネスのインターネット検索需要を調べる
今の時代、ほとんどの人はインターネットを使い検索を使います。欲しい物、オススメのブランド、美味しいレストラン、好評の医者まで、ほとんどの人が使う検索エンジンGoogleは人の「知りたい」の答えが集まる場所です。
人が話題を数値化することは難しいですが、検索された特定のキーワードの検索量を調べることが可能です。
つまり、特定のキーワードの検索量が多い=知りたい人が多い=需要がある、ということになります。
この検索量を調べることで、自分が興そうとしている「教室」に、どれくらいの需要があるのかを数値化することができます。
4.居住エリア周辺の需要を把握する
教室ビジネスの場合、完全なオンライン教室でない限り、市場は居住エリア周辺に絞られます。そのため、検索需要も全国ではなく、きちんと地域に絞ったリサーチをするべきです。
本来であれば、市などの細かい地域単位で調査するべきですが、ここでは都道府県毎の様々な教室の需要を比較していきます。
さて、Google Adwordsツールを使用し、都道府県ごとのデータを集計していきましょう。
5.都道府県毎の「教室」人気ランキング
47都道府県ごとに代表的な「〜教室」の検索量を比較し、地域ごとに特徴や差を調べました。
データは2020年2月現在のGoogle Adwordsでの対象キーワードのクリック想定数を都道府県別に集計しています。各教室の都道府県ごとのランキングを比較しやすくするために、ここでは検索数の絶対数の比較ではなく、各検索量の都道府県比率を比較します。
教室の種類は、「そろばん教室」「ピアノ教室」「プログラミング教室」「料理教室」「英会話教室」の5教室を対象としました。
その他「算数教室」や「科学教室」、「理科教室」などの様々な教室も調べましたが、上記の5教室に比べ極端に検索需要が少なかったため、含んでいません。
この調査結果だけでも上記5つの教室の需要が突出していることがわかります。
それでは教室ごとの人気ランキングを都道府県ごとに紹介していきます。
▼そろばん教室
「そろばん教室」の都道府県検索ボリュームランキング上位10位
- 東京都
- 大阪府
- 神奈川県
- 愛知県
- 埼玉県
- 千葉県
- 兵庫県
- 福岡県
- 北海道
- 静岡県
一番人口の多い東京都は19.53%と断トツで多く、続いて大阪府、関東の神奈川、中部の愛知と大都市が続きます。
東京・大阪・神奈川・愛知以外の検索量は、全体に対して5%前後と同じレベルの検索量である事もわかります。
ちなみにそろばんの生産地で有名なのは兵庫県と島根県ですが、兵庫県ではある程度検索量があるものの、島根県ではあまり検索量は多くはありません。
生産台数とそろばん教室の重要は別のようです。
▼ピアノ教室
「ピアノ教室」の都道府県検索ボリュームランキング上位10位
- 東京都
- 神奈川県
- 大阪府
- 埼玉県
- 愛知県
- 千葉県
- 兵庫県
- 福岡県
- 北海道
- 茨城県
東京・神奈川・大阪が上位3位であるのは同じであったものの、パーセンテージを見るとそろばん教室の場合、東京が19%だったところ、ピアノ教室の場合17%にとどまりました。
その分特に神奈川県の比率がそろばんに比べて高いことも特徴的です。
ちなみにピアノの生産地で有名な静岡県ですが、こちらも「ピアノ教室」の需要には関係ないように見えます。
▼プログラミング教室
「プログラミング教室」の都道府県検索ボリュームランキング上位10位
- 東京都
- 大阪府
- 愛知県
- 兵庫県
- 神奈川県
- 埼玉県
- 千葉県
- 北海道
- 福岡県
- 京都府
前述のそろばん教室やプログラミング教室と同様、首位は大都市であることは大きく変わりませんでした。
しかし、大阪府での「プログラミング教室」の検索量は全体の11%と、他の教室に比べて比較的大きいことがわかりました。
2020年度からプログラミング教育は公立校では必修科目となりましたが、大阪での需要は他の県より比較的に高いという地域特性があるのかもしれません。
また他の教室では上位に来なかった岡山県も比較的に多いことがわかります。
▼料理教室
「料理教室」の都道府県検索ボリュームランキング上位10位
- 東京都
- 大阪府
- 神奈川県
- 千葉県
- 兵庫県
- 愛知県
- 埼玉県
- 福岡県
- 北海道
- 京都府
こちらも上位はほぼ大都市圏に偏っています。
しかしよく見ると東京は20%超え、神奈川・大阪も11%超え、そしてその他都市も5〜8%と高く、その他地方は0%台と低く、都市部に集中しているように思えます。
この特徴はさらに詳しくしらべないと推測はできませんが、何らかの理由があるものと思います。
▼英会話教室
「英会話教室」の都道府県検索ボリュームランキング上位10位
- 東京都
- 神奈川県
- 大阪府
- 愛知県
- 埼玉県
- 福岡県
- 千葉県
- 兵庫県
- 北海道
- 静岡県
英会話教室はそろばん教室やピアノ教室のように、大都市に集中しながらも広く分散していることがわかります。
また、広島県が他の教室では見られなかった2%超えと高いこともわかりました。
英会話はどの県でもある程度の検索需要があるように見えます。
6.検索需要から集客を目指す
都道府県ごとに代表的な「~教室」の検索量を比較しました。
当然ながら検索量は大都市に集中していますが、内容により地域の特徴があることがわかりました。
今回は簡単に比較するために、検索量の都道府県比率の比較分析でしたが、Googleを利用すれば実際に目安検索量も調査できるので、月にどれくらい検索されているのかも把握できます。
教室の開業を検討している地域に、ある程度の検索量があることが分かれば、その検索ニーズに応えるためのWebサイトを開設しましょう。
ホームページの具体的な設置方法や、集客方法についてはぜひともお気軽にお問い合わせください。
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また、本記事では都道府県単位でしたが、もっとキーワードを深堀りした、「○○区 英会話教室」など、地域名などと組わせたキーワードを使用し、より詳細な需要分析をすることをオススメします。
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