塾や教室などスクール事業は、かなり複雑な法律問題が潜んでいる業界です。
例えば、特定商取引法やクーリングオフなど、名前は聞いたことあるが詳しくは知らなかったり、知ってはいるが具体的にどのようにすれば良いか分からないスクール経営者の方は多いと思います。
ここではスクール経営者の皆さんが押さえておかなければならない法律問題について解説します。
1.スクールは特定商取引法の規制対象
まず、最も重要な規制として、特定商取引法による規制があります。特定商取引法の規制対象となる塾や教室などスクールは「入学試験に備えるためまたは学校教育の補習のための学校(大学および幼稚園を除く)の児童、生徒または学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)」であり、期間が「2月」を超え、かつ、金額が「5万円」を超えるものとされており、あらゆるスクールが該当するということではありませんが、該当する場合は多いと思われます(該当するかどうか判断がつかないという場合は、弁護士等にご相談ください)。
対象となるスクールの場合、かなり複雑な書面の交付義務、クーリングオフ制度の適用、中途解約についての規制などがあり、これらを遵守できる書類を整備することは、塾や教室などスクールにとって大きな負担となると思います(なお、現行法では、書面の交付は紙でしなければならず、オンラインでは完結できません)
しかし、法律の規制である以上、事業者としては、いくら大きな負担だからといって逃げることはできません。特定商取引法の義務を守れなければ、業務改善指示や業務停止命令、業務禁止命令などの行政処分のほか、罰則の適用を受ける可能性もあります。
2.解約に関する条件不備で全額返金の可能性
クーリングオフの規制については、書面に不備があった場合、すでに受講した全期間の授業分も含めて、授業料を全額返金しなければならないというような、思わぬ損失を受ける可能性があります。
また、スクールという性質上、解約の問題は不可避ですが、トラブルはその解約のときに生じる傾向があります。そして、そのトラブルの原因は、塾や教室などスクールの提供するサービスが悪かったという場合はもちろんありますが、解約についての条件・手続きの定めが不十分であったり、あるいは、その定めについての説明不足に起因することが多いように思います。この問題は、特定商取引法の適用を受けるか受けないかにかかわらず、生じる問題です。
そして、塾や教室などスクールの特性として、サービスの提供を受ける者が未成年者であるということが挙げられます。そうすると、民法上は、親権者と契約する必要がありますが、この点もきちんと意識して契約書や規約等を整備しておかないと、後になって全部ひっくり返される、具体的には、契約が取り消され、すでに受領した授業料全てを返金せざるをえないということが生じる可能性もあります。
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3.機能する契約書や規約の用意
このように、塾や教室などスクールは法律が密接にかかわってくる業界であり、充実した契約書や規約を用意することが求められる業界であるといえます。
しかし、それぞれのスクールによって、対象となる顧客、提供するサービス(授業)の内容(カリキュラムや授業の形態(オンラインか対面か、集団か個別か)が異なるため、契約書や規約について、テンプレート(雛形)がそのままでは適用しにくい業界です。もちろん、それを自分の力でアレンジするということも考えられますが、すでに述べたように、機能しない契約書や規約であった場合のリスクは大きいため、専門家である弁護士の力を借りることをお勧めします。
SCHOOL MANAGERでは塾や教室などスクール関連の法律問題に精通した弁護士が対応致します。法律関連の問題が発生した場合に限らず、問題が起きそうなとき、さらには、問題の発生を予防するためにも、お気軽にご相談ください。
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